子ども同士のケンカへの上手な対応

保育の現場では、子ども同士のケンカは日常的に起こります。
「おもちゃを貸してくれない」「順番を守らない」「ちょっとした言葉の行き違い」――原因はさまざまですが、ケンカは子どもたちが社会性や感情を学ぶ大切な機会でもあります。
保育士として子ども同士のケンカにどのように関わるべきか、その対応方法のポイントについてご案内します。
すぐに止める?それとも見守る?
ケンカを見たとき、大人はつい「すぐ止めなきゃ!」と思いがちです。
しかし、見守りの姿勢もときには大切。子どもたちのやり取りから学ぶことは多く、すべてを大人がコントロールする必要はありません。
【見守っていいケース】
・言葉で言い合っているだけ
・一方的ではなく、お互いに意見を言っている
・感情のやり取りがエスカレートしていない
危険を感じたら、すぐに介入を
とはいえ、身体的な危険がある場合や、一方的な攻撃になっているときは、すぐに介入しましょう。
以下のような場合、まず状況を落ち着かせることが最優先です。大声で叱るのではなく、冷静な声で間に入り、子どもたちの安全を確保しましょう。
・手が出てしまった
・泣いて動けない子がいる
・言葉による強い否定やいじめにつながる表現がある
「どちらが悪い?」を決めつけない
大人はつい「どっちが悪かったの?」と聞いてしまいがちですが、原因の白黒をつけることが目的ではありません。
大切なのは、「どうしてそうなったのか」「これからどうすればよいか」を一緒に考えることです。
対応のポイント:
・まずは一人ずつ、落ち着いた状態で話を聞く
・感情に寄り添いながら、状況を整理してあげる
・解決策を子どもたち自身の言葉で導き出せるようサポート
ケンカのあとのフォローが大切
ケンカのあとには、感情の整理が必要です。泣いた子、怒った子、それぞれの気持ちに丁寧に寄り添いましょう。
共感の言葉は、子どもたちが「自分の気持ちをわかってもらえた」と感じる第一歩です。必要であれば、絵や言葉で気持ちを表現させる時間をとってもよいでしょう。
・「○○ちゃん、嫌だったんだね」
・「そう言われて、○○くんも悲しかったんだね」
日頃から育てたい「伝える力」
ケンカを減らすためには、日頃から感情や思いを言葉にする力を育てることが重要です。
「言葉で伝えるって気持ちいい」「ちゃんと聞いてもらえる」と実感できれば、手や声を荒げる前に相談する姿勢が育ちます。
・絵本や人形劇で“気持ちのやり取り”を学ぶ
・「○○してほしい」と伝える練習をする
・クラスで“ことばのルール”を共有しておく