異次元の少子化対策・保育士の配置基準かわらず|保育システムNavi

異次元の少子化対策・保育士の配置基準かわらず

2023.4.12 保育お役立ちコラム

2023年3月31日、「異次元の少子化対策」のたたき台が政府から発表されました。
子育て施策で大きな目玉とされていた保育士の配置基準は変わらず。
運営費を増額する方針が示されたものの、保育現場からは落胆の声もあがっています。
このままでは保育の質が下がってしまうと目されている現状です。

「異次元の少子化対策」のたたき台

年度末に政府が発表した少子化対策のたたき台は、2024年度から2027年度の三年間を「集中取組期間」とし、「加速化プラン」を明記したものでした。
保護者のための経済的支援の強化はもちろん、保育移設などの子育て支援サービスの拡充などが柱です。
しかし、明確な制度も財源の説明もなし。
実施する時期も未定で、財源が確保できなkればこのまま実現に至らない可能性もあります。

保育現場で働く保育士や保育施設を運営していくスタッフが注目していた「保育士配置基準」改善と保育士の待遇改善。
それに学童保育所の受け皿拡充が挙げられていました。

保育士の配置基準

「異次元の少子化対策」のたたき台では、保育士の配置基準は変えず、保育士1人が受け持てる1歳児を6人から5人、4、5歳児を30人から25人にできるように運営費を増額する方針を示しています。

保育士不足の現状では人員を確保できない保育施設が出てくる可能性が高く、そうなると保育の受け皿が減り待機児童が増加することが容易にイメージできます。
そのため基準の改訂は見送られました。

保育士の配置基準は国が1948年に制定した保育士1人が受け持てるこの数を定めたもの。
運営費のうちの人件費にこの基準が反映され、1998年に0才児の基準を「保育士1人あたり子ども6人」から「保育士1人あたり子ども3人」に変更されたのを最後に改定がありません。

現状も努力義務のような形で運営費を増やして保育士の配置基準を変更していないため、「この程度では現状と変わらない」といった声が挙がっています。

慢性的な保育士不足といわれる保育施設ですが、都市部では独自の施策で運営費が加算され、国の保育士配置基準を上回る保育士を配置している保育施設が多い模様です。

保育という仕事は公的福祉です。
未来の経済を支える子どもたちをしっかりと安全に育てるためにも、法律にのっとって配置基準を見直すという考えをもたなければさらに保育の質が下がる恐れがあると考えられています。
昨今子どもたちが巻き込まれる痛ましい事件も絶えません。
これは氷山の一角とされていますが、現在の配置基準で保育士が限界を感じている今、こうした崩壊が続かないとも限らないでしょう。
政府にはほんとうの意味でのこれまでにない抜本的な対策が求められています。

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